コンサルタント解説

2020.12.01

本音に近づく魔法の言葉 ~「なぜ」「どんな」

会話が続かない・・・という悩みを持ったことはありませんか。気心が知れていない相手、初対面の相手、年の離れた相手などと、ちょっと二人きりになったとき。配属されたばかりでまだよく知らないメンバーと移動時間を共にするが、何を話せばよいのやら・・・

そうした場合、『なぜ』と『どんな(どのような)』を駆使してみてはいかがでしょうか。

例えば、「先週の日曜日、どこか行きましたか?」と相手に質問を投げかけてみる。「駅前のスターバックスに行きました」と相手から返ってきたとします。

「なぜ、そこへ行ったのですか?」「仕事しやすい場所だから」「なぜ、そこが仕事しやすいのですか?」「好きな音楽がかかっていて程よく集中できるから」・・・文字に起こすと少し詰問しているようにも感じるかもしれませんが、「なぜ」と踏み込んでみることで、仕事、音楽、集中といったキーワードが出てきました。

さらに、「その音楽は、どのようなジャンルですか?」「集中するには普段どういった工夫をされていますか?」「今、どのような仕事をやられているのですか?」というように、「どんな」と掘り下げてみる。そうすると、音楽の好みや、仕事の内容、取り組み方など、話が広がっていきます。思わぬエピソードやその人のパーソナリティに触れるきっかけにもなるかもしれません。

『なぜ』と『どんな』を用いて質問を繰り返す。実は、これは「ラダリング」というインタビュー調査手法をもとにしています。ラダーとは、梯子(はしご)のことで、梯子を上ったり(ラダーアップ)、梯子を下りたり(ラダーダウン)するようにヒアリングを行い、認知構造、価値構造を整理します。

・『なぜ』→上位概念を抽出する質問で、いわば梯子を上っているイメージ(ラダーアップ)。価値観、選択基準、抽象度の高いニーズなどを探る

・『どんな(どのような)』→下位概念を抽出する質問で、いわば梯子を下っているイメージ(ラダーダウン)。ニーズを満たすための、具体的な方法・機能を探る

少し小難しくなってしまったかもしれませんが、『なぜ』は梯子を上って物事の背景を知る、『どんな』は梯子を下って物事をより具体化する、というイメージでしょうか。

この『なぜ』『どんな』は、普段の生活においても非常に有効で、営業先やお客様のニーズの掘り下げや、社内のメンバーの本音などに近づくことができます。

「駅前のスターバックス」、そこへ行く目的や過ごし方など、思い浮かべる絵図があなたと私でおそらく違います。『なぜ』『どんな』と問うことで、その差異が明らかになってきます。『なぜ』『どんな』と踏み込んでみることで、相手を知る大きな一歩となるでしょう。